マンションに住んでみてから、はじめて分かることや気づくことなどが、あると思います。
住んでみてから気になったというところでいうと「居住者間のマナーに関すること」「建物の不具合に関すること」「管理規約に関すること」などが多いです。どれも大事なことで、気になるところでもあります。
マンションを選ぶ時も住んでからも悩みやトラブルはできるだけ回避したいですね。
実は、管理規約と使用細則自体が『マンションのルールを規定しているルールブックのようなもの』なので、管理規約について学んでおくことをおすすめします。
マンションを選ぶときには不動産会社の実績や担当者の対応によって、差が大きくなるのではないか、と思うかもしれませんが、完全に依存してしまうのではなく、必要な知識は身につけておくという考え方が大事になってきます。
今回は、管理規約が古い場合にどんな問題があるのかということについて取り上げていきたいと思います。どんなトラブルがあるのかという視点から分かりやすくまとめていますので、ご参考にしていただければ幸いです。
この記事は【管理業務主任者の執筆・宅地建物取引士の監修】でお届けします。🥇🥈
目次
管理規約とは?
マンションと一言でいっても、タワーマンションのように住戸数が多いマンションから、住戸数の少ないマンションもあります。共用施設としてラウンジや集会室などがあったり、共用施設ではなく店舗としてジムやクリニックなどが入っているということもあります。
ここでは規模や用途、形態などから色々なマンションがある、ということをふまえておいていただければと思います。
「賃貸物件が多い(オーナーが住んでいない)マンション」「共用施設が多いマンション」「管理組合が法人化しているマンション」など、個性があるので、管理規約で定められているルールなどにも違いがあります。
いろいろなマンションがあるのなら、何がよくて悪いのかが分からないと思うかもしれませんが、その点は大丈夫です。
国土交通省から、目安とする指針が出されているからです。
管理規約には基本的な型のようなものがあり、管理規約を作成する目安として標準管理規約という単棟型と団地型、複合用途型の3種類が示されています。
・団地型:複数の棟があるマンションで敷地を共有しているもの
・複合用途型:一棟のマンションの中に店舗や事務所、住宅があるもの
いろいろなマンションがあるとしても、大きく分けると3つのタイプに分かれるということですね。
そして指標となる標準管理規約と照らし合わせて、特別な規定が盛り込まれていたら、トラブルに対処するために規定が盛り込まれている、そのようなトラブルが起こっているのかもしれないなどと推測することもできます。
管理組合が機能している、と見ることもできます。
よくある管理規約のトラブルとは?
管理規約のトラブルということを深掘りしていくと、何らかのトラブルがあったので、管理規約自体を変更しなければならなくなったり、トラブルが起こったときに管理規約をどう解釈すればいいのか分からない、という2点があげられると思います。
- トラブルなどが起こったときに管理規約をどう解釈すればいいのか
- 現状のルールを変えたり、新たに定めるにはどうすればいいのか
どんなトラブルが考えられるのか、ということについては、起こりやすいことをピックアップしていくつかあげておきますので、下記を見てください。
▼管理規約に関係するトラブル
使用細則違反 | ペットの飼育 | 修繕について | その他 |
廊下に自転車 | ペットの飼育禁止 | リフォーム工事のルール | 「もっぱら住居として使用する」の定義 |
ベランダへの布団干し | ペットの飼育数 | フローリングへのリフォーム禁止 | ベランダへのアンテナ設置 |
隣人トラブル | ペット規約変更 | 床の防音 | 原始規約のままで古い |
ペット飼育OKと言われたのに
「ペットの飼育はOKと言われて選んだマンションなのに、管理規約や使用細則にはペット禁止と書かれていた」「ペットを複数飼っていて、OKと言われたのに、飼うことができるのは一頭だけとペット使用細則に書かれていた」ということもあるので、事前にチェックをしておきましょう。
リフォームをする予定で購入したのに
中古マンションを安く購入して、リフォーム予定でマンションを選んだのに、管理規約などに「フローリングへのリフォーム禁止」と書かれていたので、思うようなリフォームができなかったという事例もあります。これでは、予定通りの生活ができなくなってしまいます。
フローリングの張り替えについては、防音性を高めるために管理規約などで「LL-40」や「LL-45」といった遮音等級が決められている事もあります。
英会話教室を開きたかったのに
少人数性のスクールや事務所としてマンションを使用したい、という方も増えているようです。
その予定でマンションを選んだのに、管理規約には「もっぱら住居として使用する」と書かれていたため、断念することになったということもあります。事務所としての利用が可能か、人の出入りがある教室などの利用は可能かということは、あらかじめ確認しておくことが望まれます。
なぜ、管理規約が古いと何が問題なのか?
管理規約が古すぎるために現在の法律に則していなかったり、書かれている内容が現況とかけ離れていたりすることがあります。
それだけでも、「管理規約に書かれていないから問題ない」という解釈をされたり、「管理規約に書かれているから問題ない」という主張をされたりするので、さらにややこしくなりやすいです。
トラブルになると専門知識を持っている方が有利になるので、理論武装のためにも少しづつ学んでおくことをおすすめします。当マガジンでは「マンションの情報を分かりやすく」をテーマに情報発信しています。
管理規約が古いということは、管理規約の変更ができない事情がある、ということも考えられます。個別の事情はあるにしろ、「議決権数が足りないので規約の変更ができない」か「意見が分かれているので変更ができない」そんなことも推察されます。
ということは、それ以外の特別決議による重要な議案がが可決されない、という可能性もあるかもしれません。
※単に管理規約の改定方法が分からない、管理会社が提案してくれない、管理規約自体がないということもありますが、マンションを選ぶとき、管理規約は一つのチェックポイントになると思います。
不要なトラブルを避けて安心するためにも、管理規約の内容に目を通しておくことは重要です。売買契約書などからは見えない、マンションの事情まで読み取れることもあります。
人任せにせず、ポイントを学んでおく
本記事では主にマンションの管理規約について、トラブルという視点から見てきました。トラブルを解決に導いていくために必要なアイテムが管理規約だと思います。
実際にマンションを選んでいく時にも、住んでからも不要なトラブルは少しでも避けたいと思うでしょう。そのためには、仲介に入る不動産会社、管理をする管理会社などの専門家に任せっきりにせずに、ポイントを学んでおくことは、必須になります。
このブログを道具として、武器として使っていただきよりよいマンションライフを、そして心から豊かになっていただけると幸いです。
【特別決議とは?】
マンションでは特に重要な議案については、区分所有者の数が3/4以上、議決権が3/4以上で決議して決めます。特別決議事項は、区分所有法で規定されていてマンションの重要な内容を決めるものです。
【特別決議事項とは?】
1.管理規約を制定したり、変更したり廃止するとき
2.管理組合法人を作るとき
3.共用部分等を変更するとき
4.大規模滅失で復旧するとき
5.建替をするとき
6.部屋(専有部分)の使用禁止請求
7.区分所有権の競売の請求
8.賃借人などへの引渡し請求