「雨漏りと水漏れと結露」というのは、最初は、区別がつきにくいので、気づかずに対処法をあやまってしまうことがあるかもしれません。できれば、どれも経験したくないと思います。
「湿度も高く結露だと思っていたら、雨漏りだった」「雨漏りだと思っていたら、上階から水漏れしていた」「水漏れだと思って調査をしたら、雨漏りだった」など、えっと思うこともあるかもしれません。
何よりも実際に雨漏りとなると、時間を調整して調査や修繕の立ち合いをしたり、そのためのやりとりも必要になります。すぐに原因が分かればいいのですが、原因の特定に時間がかかることもあります。
では、いったい、どうすればいいのでしょうか?
大事なポイントをしっかりとおさえておくようにします。
最初に、マンションで雨漏りが起こったときのポイントをあげてしまうと、以下のようになります。
- 雨漏りだと火災保険が使えず、水漏れだと使えることが多い
- 雨漏りの原因や箇所によって誰が費用負担をするのか、責任の所在が異なる
- 足場をかけないと調査ができないような場合に、調査自体が遅れることもある
- 雨漏りの調査をしても原因が特定できなかったり、特定に時間がかかることもある
- 雨漏りの原因が、瑕疵のような物件には手をだしてはいけない
ここから掘り下げつつ重要な点を解説していきたいと思います。現実的と言える視点からあわてずに対処したり、総合的に考えることができるようになると思います。
この記事は【宅地建物取引士の執筆】【管理業務主任者の監修】でお届けします。🥇🥈
目次
マンションで雨漏りしたときのチェックポイントとは?
まず基本的な知識としておさえておきたいことは、不具合などがあれば保証や瑕疵担保責任などにより、売主や施工会社などが期間内には基本的な補修をしてくれるのが【新築マンション】です。
新築マンションで年数が経過していたり、中古マンションで雨漏りが起きたときに、まずはどうすればいいのか?
ということになりますが、「管理会社や管理組合に連絡し、調査」をしてもらいます。
マンションを賃貸で借りている場合には、雨漏りがあれば貸主に報告をします。放置して状態がひどくなると後で補修費用を請求されることもあるので、見つけたらた連絡を入れることが大切です。
基本的な考え方としては、マンションを賃貸している方が雨漏りを直してくださいと言える相手は貸主(オーナー)で、オーナーが雨漏りを直してくださいと言えるのが、共用部分を管理している管理組合(管理組合から委託されている管理会社)になります。
【マンションで雨漏りが起きたら、どこに連絡すればいいの?】
マンションの所有形態 | 雨漏りが起きたらどうする? |
賃貸で借りている場合 | 貸主に連絡する |
所有している場合 | 管理会社に連絡する |
その上で、繰り返しにはなりますが、こちらのポイントが大切です。では、順番に解説していきます。
- 雨漏りでは火災保険が使えず、水漏れでは使えることが多い
- 原因や箇所によって、誰が費用負担をするのかが違う
- 足場が必要な場合に、調査自体が遅れることがある
- 原因を調査をしても、原因の特定に時間を要したり、分からないこともある
- 雨漏りの原因が、瑕疵のような物件には手を出してはいけない
①.雨漏りでは火災保険が使えず、水漏れでは使えることが多い
調査をしてみないと原因はわからないのですが、普通の雨漏りということならば火災保険は使えないと考えた方がいいと思います。
ただし、雨漏りでも契約次第では自然災害などに限って、使えることがあります。自然災害によりパーテーションなどが突風で破損した、風災などで被害を受けたという場合などです。(経年劣化による雨漏りではなく、自然災害で突発的に起こった)
雨漏りの原因から考えると、外壁やベランダ、屋上、サッシなどからということが多いと思いますが、そのような箇所は共用部分にあたります。共用部分は管理組合に責任があるので、管理組合(委託をしている管理会社が)が調査や補修の手配などをしていくことになるのが普通の流れです。
その際にも、雨漏りの補修には火災保険では対応できないということと、雨漏りの調査をする場合の調査費用もほぼでないというのが現実的です。
しかし、マンションでは水漏れなどの被害に備えて、管理組合で共用部分の火災保険に加入していることが多く、原因を調査するための水漏れの調査費用などにも対応できることがあります。雨漏りでは保険はほぼ使えないのですが、水漏れ調査ということでは保険での対応が可能になるということです。
- 雨漏りの場合、火災保険が使えないことが多い
- 雨漏りの原因が共用部分ならば、管理組合に責任がある
- 水漏れの調査費用は管理組合の保険で対応できることがある
②.原因や箇所によって、誰が費用負担をするのかが違う
どうしても気になるのが、「雨漏りが起こったときには、誰の責任になるのか?」ということです。
これは、「調査費用や修繕費用を誰が負担するのか?」ということでもあります。
「共用部分なので早く補修してほしい。これだけの損害が出ている」と主張しても、実は自分に原因があったということだと、えらいことになります。
勝手に躯体に穴を開けてしまっていたり、雨漏りを放置してひどくなっている場合など、自身に過失があったり、あきらかに責任があるときには、補修費用を請求されることもあります。
ただし、普通に考えると、共用部分は勝手に補修できないということになるので、管理組合(管理会社)に調査、補修してもらうという流れになります。
リフォーム時などには、管理規約・使用細則に違反していないか、目をとおしておくようにしましょう。
- 共用部分からの雨漏りならば管理組合が補修する義務がある
- リフォームなどでルール違反の行為をしたり、過失がある場合には補修費用を請求されることもある
③.足場が必要な場合に調査自体が遅れることがある
管理組合や管理会社に話が通り、調査をしていく段階でもスムーズに進まないこともあります。
スムーズにいかない事例としては、外壁の調査などで足場が必要になることもあるからです。
調査や補修をするときに、足場が必要になると予算がかかってきます。
近々大規模修繕工事で補修を予定している場合などに、応急処置のような形でもう少し、待って欲しいと言われる可能性はあるかもしれません。
また、足場をかけての漏水調査をいうことで火災保険を使うときには、金額が大きくなることが予想されるので保険会社の鑑定人の立ち合いが必要になることもあります。調査費が100万円以上の場合は立ち合いが入ってくると思います。
- 原因箇所によっては大掛かりな調査や工事が必要になることもある
- 火災保険や地震保険で調査を行うときには、金額が高額になれば損害保険の鑑定が入ることもある
④.調査をしても原因の特定に時間を要したり、わからないこともある
実際に難しいのは、外壁などから雨水が入っている場合に、水がどこを伝ってどこに流れていくかがわからないため、思わぬところから浸水していることもあります。可能性を一つ一つ潰していく作業が必要になるので、原因の特定に時間がかかったり、複数回にわたり調査をしても原因がわからないこともあります。
- 居住者、調査をする会社、管理会社などが立ち会う場合、スケジュール調整が必要になる
- 一つづつ原因を潰していっても、原因が特定できないこともある
⑤.雨漏りの原因が瑕疵のような物件には手をだしてはいけない
繰り返し、雨漏りがおこってるというような物件には、気をつける必要があります。
繰り返して雨漏りが起こっていることを、どうやって確認するのかというと、
契約関連の書類の中に雨漏りの記載がないかという点のチェックと、不動産の仲介業者を通して、雨漏りや水漏れなどが起こったことはないかを確認してもらうということです。
- 売主との契約に係る「重要事項説明書」や「物件情報報告書」「付帯設備表」などの書類の中に雨漏りの記載がないか確認する
- マンションの管理会社から取得した「重要事項に係る調査報告書」で過去の過去の修繕履歴などで気になる項目がないか確認する
契約関連の書類の中に雨漏りについて記載があると、あとで知らなかったということは通らないので、ここは重要です。
マンションの管理会社から不動産仲介会社が、取得している「重要事項に係る調査報告書」はいつ発行しているのか、日付の確認と、それ以降に変更がないかを口頭でもいいので確認しておくとよいでしょう。不動産会社も責任があるので、管理会社に電話をして聞いてくれると思います。
その際には、雨漏りや水漏れが起こったとこはないか、その修繕内容などを確認してもらいましょう。
「重要事項に係る調査報告書」は、マンションの管理会社によって書式が違うので、修繕に関してもマンション全体の大きな修繕のみ記載している会社や、部屋ごとの修繕なども記載している会社などもあります。
- 不動産の仲介会社が作成した「重要事項説明書」「物件情報報告書」「付帯設備表」などの書類の中に雨漏りについての記載がないか確認する
- マンションの管理会社が作成した「重要事項に係る調査報告書」の中に修繕などで気になることがあれば確認をしておく
- 雨漏りや水漏れの被害などはなかったか、確認する
屋上防水や外壁塗装などはマンションの価値にも影響する
もっとも重要なのは、資産価値が低下するおそれのあるので、必要な修繕をしているかどうかの把握です。
屋上やベランダなどの防水工事の状況や、外壁周りの劣化に対応する外壁塗装工事などが適切な時期の行われているか、です。マンションの予算がなくて防水工事や外壁などのメンテナンスを行なっていないということだと、雨漏りの可能性は上がります。
屋上に太陽光パネルや携帯電話の基地局などを設置しているのに、屋上防水などのメンテナンスを行なっていないということだと、懸念材料になります。
今回は雨漏りというテーマでお伝えしましたが、雨漏りが頻発している原因が、上記のような管理に起因するものである場合は、将来的にも不安が生じますので、注意が必要です。マンションの資産価値にも影響する修繕工事については、別の記事でも取り上げていく予定ですので、ご参考にしていただけると幸いです。
そして、原因を調査してから改善されるまでに時間がかかってしまうこともありますし、何よりも調査に立ち会うなどのやりとりも増えるので、ストレスも増えます。
【雨漏りの解消がスムーズにいく一例】
雨漏りする→管理会社に雨漏りの連絡を入れる→管理会社から管理組合に報告する→調査をする→原因を改善する
【雨漏りの解消がズムーズにいかない一例】
雨漏りする→管理会社に雨漏りの連絡を入れる→管理会社から管理組合に報告する→調査をする→原因が特定されない→また雨漏りする→管理会社へ連絡する→再調査をする→また原因が特定されない→また雨漏りする→管理会社へ連絡する→再再調査をする→原因がいくつか判明する→原因箇所の補修をする→また雨漏りする…
マンションの雨漏りの対処法のまとめ
今日は「もし、雨漏りが起きたときにはどうすればいいのか?」ということをまとめましたが、契約時の書類のチェックやマンションとして必要な修繕が行われているのか、ということがポイントになります。
新築マンションは経年劣化という意味では、雨漏りの可能性は少ないとは思いますが、未知数な要素も多いので、中古マンションに比べると不具合や修繕、トラブルなどの情報が少ない分、不安要素はあると思います。
それらを踏まえて相場よりも良いマンションを選べるような目を養っておきましょう。